妄々録拾穂抄

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密室、狂気、深海からの物体X。いつもだいたいソ連のせい~「リバイアサン」(1989)~

近未来、フロリダ沖4800メートルの海底に建設された資源採掘基地。滞在期限の2日前、作業員2人がソ連の沈没船「リヴァイアサン」を発見する。中を調べた2人は1台の金庫を回収する。その中に入っていた年代物のウォッカを密かに隠し持ち、飲んだことで1人の体に異変が起こり始め翌日死亡してしまう。遺体は徐々に変化し人間とは思えぬ姿に変形していた。同じころウォッカを飲んだもう1人にも異変が起き始める。残された作業員たちは遺体を海底投棄しようとするが、その作業中1人が遺体に襲われ負傷する。

ウォッカと沈没船の記録映像を解析した作業員たちは、船内で何らかの生体実験が行われ、暴走した実験体を処理するために沈没させられたことを知る。その後、傷を負った作業員の変異と残っていた遺体の一部の成長により、基地は地獄絵図と化していく。

リバイアサン (1989年の映画) - Wikipedia

ロボコップピーター・ウェラーを主人公に迎え、脇役にランボーシリーズのリチャード・クレンナと配役は真っ当である。あらすじからもわかるように「遊星からの物体X」のヒットを受けて制作された80年代の追随映画という感じである。

海底基地という閉鎖空間で現れた怪物の恐怖、襲われたら問答無用で変異してしまうので誰が次に怪物になってしまうのかみたいな逃げ場の無さも絶望感を漂わせる。怪物は人間を同化させどんどん進化を遂げ、最終的に醜悪な見た目に成長を遂げるが遊星からの物体Xみたいなエイリアンものではないので深海魚のような海洋生物の化け物的な造形。基地内ではなかなか姿を見せず、明るい所では造形の安っぽさが目につくかもしれないがそこはご愛嬌として勘弁してほしい。まったくブサイクな顔をしている。同化シーンは気持ち悪くて、どうやら本人たちの意識もあるようなのでかわいそう。

ストーリーが進んでも当事者たちは団結するわけでもなく自殺しようとしたり狂気に走ったり、仲間意識もどこかへ行って極限下での人間のパニック耐性の無さをこれぞと見せてくれる。そんな中でもいつも冷静なピーター・ウェラー、いてくれて助かるよ。

とはいえそもそもの始まりはソ連の実験である。いつものごとくやらかして隠蔽され、うっかり発見した人間に迷惑が。そして倫理観のない人間が被害を拡大させる。いくら嗜好品に飢えててもわけわからん場所から引き上げたウォッカを口にするな。

80年代の映画のお約束に違わずラストは爽快に終わらせてくれる。今どきだったら後味の悪いラストをつけられてしまうかも。お決まりのパターンで一難去ってまた一難、予算もあんまりかけてなさそうでがっくりするかもしれないがサメも登場するからプラス加点をしておいて。

今見ようと思うとソフトが海外製のものしかない。過去に発売されたDVDも品切れでプレミア付きになっている。